【生命保険】外貨建て保険への加入は、いいのか、悪いのか。
こんにちは、Marriage and FPの栗本です。
荻原博子さんの『投資なんか、おやめなさい』新潮新書発行を読んでいました。
第一章の題材が、まさに、『外貨建て生命保険』について。
元ソニー生命保険のライフプランナーとして、外貨建て生命保険に関する知識は比較的ある方ですので、僕目線からも解説してみたいと思います。
1.なぜ『外貨建て』=『米ドル建て』にするのか。
→これは、金利の違い。金利と言っても、正確には『国債』の利回りの違い。
生命保険会社は、顧客の利回りを約束するリスクヘッジとして、『国債』で安定的な運用をします。
・円建ての生命保険=『日本国債』
・ドル建ての生命保険=『米ドル国債』
を購入することで、利回りを約束できます。日本国債は、0.05%程度。米ドル国債は2.5%程度。
この金利差が運用実績の差として現れますので、金利だけ見ると、米ドル国債が有利です。
2.資産運用の観点からドル資産は持つ必要があるのか?
→ 栗本の意見としては、資産のポートフォリオで考えた時に、ドル資産を持つ必要は必ずある。
日本で暮らしているので、ドルを持つ意味がない!為替リスクが大きいから、ドルは持たない方がよい!
という意見も聞こえます。
皆さんの日本の生活で、為替に影響されている商品は何があるでしょう??
ガソリン、ガス、電気代、海外製の洋服、海外産の肉などの食料品。。。
結構あると思います。日本のGDP500兆円に対し、毎年100兆円程度が輸入されています。
ということは、ざっくり計算ですが、生活費の20%は、外貨が影響する可能性があるということ。
すべて日本円の資産しかもっていないとすると、外貨の影響で目減りした分については、稼いだ分、貯蓄分で賄う。
ということ。
日本円だけというのもそれはそれで大きなリスク。というわけです。
ですので、
『個人資産の20%程度の資産を外貨で持つ。』ことは、資産防衛の観点からは、必然かと。
3. 『外貨建て生命保険』でドル資産を持つ必要があるか。
→これについては、ノーです。
ドル資産を持つ必要はありますが、『外貨建て生命保険』がドル資産とは違うからです。
『外貨建て生命保険』は、あくまでも『生命保険』。その中の『終身保険』というものです。
『終身保険』は保障が一生涯続くもので、
1)自分に万が一の際に遺された家族の生活費、教育費などのために使う。(保障メイン)
2)終身保険の貯蓄部分を解約し、自分自身の生活費、教育費などのために使う。(資産運用メイン)
です。
1)は、保障。生命保険として活用している。2)は、ドルの利率に注目した、資産運用をメインで活用しています。
現在の『外貨建て生命保険』のイメージ悪化の理由は、2)資産運用をメイン とし、販売されているところにあると思います。
僕個人的には、『資産運用』をメインとしては、『外貨建て生命保険』を購入することはありません。
あくまでも、1)保障メインの保障が一生涯続く終身保険を遺された家族に残す。
という考えでは、『外貨建て終身保険』の選択肢はありです。
では、いくらくらい必要なのか?
これは、いつ死ぬのか?によって異なります。
しかし、『終身保険』をして捉えると、ある程度分かります。
なぜなら、若くして(現役バリバリ)でなくなる時は、必要保障額(家族に残す金額)が多いですし、老後には必要保障額が少なるため、大きい部分は、『定期保険』(掛け捨て)でカバー。最終的に必ず残したい部分を終身保険でカバー。
というイメージです。
必ず残したい費用、、、『葬儀代』、『奥様がなくなるまでの生活費と遺族年金の差額』くらいでしょうか。
こうなると奥様との年齢差が問題になりそうです。
平均寿命で考えると、男性:80歳、女性:87歳としましょう。
旦那さま:35歳、奥さま30歳の夫婦ですと、旦那さまがなくなってから、奥さまがなくなるまで、平均寿命では、(87-80)+(35-30)=12年間。 奥さまは、最後、一人で暮らす期間が12年にも及ぶわけです。。。
・毎月の年金では、5万円足りない場合…60万円×12年=720万円。 これが資金ショート。
・旦那さまがなくなる際の葬儀代=200万円。
720万円+200万円=920万円。 これを終身保険の金額としましょうか?
という話になったりするわけです。
しかし、単純にそれだと、保険会社の思うつぼです。それまでに920万円の貯蓄、運用ができていれば問題ない。
と考えた場合は、その保障部分さえいらなくなってしまう。
そこまで考えると・・・
1)現役バリバリの時に亡くなった際の保障は『定期保険』で大きく保障を掛ける。
2)老後の資金や遺された家族の生活費は、資産形成を若いうちに行う。(米ドルでの運用を含む)
と考えると、『外貨建て生命保険』が活躍する場面は見当たらなくなってしまう。。。
ただ、どうやら、『掛け捨て』というタイプの定期保険が、非常に嫌いなようです。結果的に、貯蓄も兼ねた保障もある『終身保険』。
そして、予定利率の高い『外貨建て生命保険』を選ばれる方が、とても多いのだと思います。
個人的には、生命保険と資産運用を分けて考えてほしいと思っております。
この記事を書いた人
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